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チベット
修改时间:2008-11-26 17:34
 7日目

 6時半、ソンゾさんが迎えに来る。外はまだ暗く、星空が美しい。シリウスがひときわ目立つ。

 来たときの川沿いの道を車は走る。飛行機に乗る人たちの車が、光の列になってつづく。請け負った人たちを最後まで面倒見るのが旅行社のつとめかも知れないが、中に入ればガイドは入れないのだから、大型バスかなんかで客を拾っていった方が合理的だろうに。

 観光客の車はみんな横に「西蔵旅遊」と書いてある。国営なのか、民間でも1社に絞られているのか、ソンゾさんにきいたのだが、私の英語がわるいらしく、きちんとした回答をもらえなかった。

 カノープスが見える。昔は東京あたりでも水平線ぎりぎりに見えた。この星は不老星と呼ばれ、見るとラッキーだったと説明する、とみんなラッキーなんだとよろこんでいる。もっとも、それは関東でのこと、沖縄では見えますからね、と付け加える。
 
 星に願いをかけるとしたら、ダライ・ラマをこの地に帰してやりたい。私がチベットに来た目的のひとつは、チベットの人たちの素顔を、もちろんおおっぴらには許されないことではあるが、かいま見たいと思ったからだ。個人宅への訪問も、こういう会話も禁じられていることは私は百も承知だ。表向きの信仰の自由とは裏腹に、中国政府の締め付けはまだまだなくなってはいない。

 ダライラマがこの地を去って、41年(1959年、ダライ・ラマは馬でインドに亡命。このとき、中国の侵攻で150万人ものチベット人が殺された。拷問もひどかったようだ。ネパール、インドにはチベット難民部落がかなりある。亡命したダライ・ラマはダラムサラにチベット亡命政府をつくっている)、町は中国風になり、「デヒデレ」という呼びかけに、人々は「ニーハオ」と答えるごとく、表面は中国ナイズされてはいるが、密やかにはダライラマを心の支えにしていることが、感じ取れた。 このような自然環境の厳しい土地で生きるには、信仰という心のよりどころは必要なのだろう。

 だんだんと夜が明けはじめる。

 空港は荷物チェックに長い行列。ソンゾさんが一人ずつに握手をして帰っていく。荷物チェックが終わり、空港使用料を払い、搭乗券を貰い、イミグレイションで6人分のビザを見せ、パスポートチェックを受け、待合室へ、今度は順調だ。乗客は来たときと同じ顔ぶれが多い。

 荷物を引きずって歩きながら「バイバイ チベット」とちょっとウェットにつぶやくと、後から来た外人が、すごく朗らかに「バイバイ チベット」と言って、私の顔をのぞきこんだ。彼女は若い、また来れるだろう。

 帰りはチョモランマ側の座席をもらう。このためにカメラにはフィルムが入れてある。

 快晴。チョモランマもマカルーもカンチェンジョンガもよく見える。二つのカメラでシャッターを切り続ける。仲間がコンパクトカメラを差し出して、シャッターを切ってという。「後で私の写真をあげるよ。でも、こんなに撮っても、後で見ると、気に入らないんだよねぇ」
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